神様修行はじめます! 其の四


「水、動いてる! ほらそこ移動してる!」


あたしは水を指さしながら金切り声を上げた。


動くどころか、水はニュルニュルと地面の上を移動していた。


まるで意志を持ったスライムみたい。


泉に向かって真っ直ぐに、どんどんスピードアップしながら突っ込んでいく。


あの水、元の泉に戻ろうとしてるの!?


「なんじゃ、あれは!?」

「これ、ちょっとお待ち!」


絹糸と主さんが素早く後を追いかけたけど、一瞬、水の方が速かった。


泉の中に、するんっと音もなく滑り込んで同化してしまう。


あたし達は泉の周りに急いで駆け寄り、ぐるっと取り囲んだ。


泉は何事も無いように、静かに乳白色の水をこんこんと湧き出している。


「この水なんなの!? 生きてるの!?」


「生きておる。が、恐らく水の意思というよりも、ただの回帰本能じゃ」


「回帰本能? これ、やっぱり異形?」


「極端に原始的で単純な、異形じゃな。だから我の鼻でも分からなかった」


青ざめた浄火が険しい表情で、泉の水を眺めている。


「長・・・・・・この水、なんなんだよ?」


長に向かい、恐ろしく思い詰めた声で質問した。


「あんた、知ってんだろ? だから・・・この水を、オレに飲ませたんだな?」


・・・・・・・・・・・・!


飲んだあ!? この水を浄火が飲んだの!?