あの水、どうするつもりなんだろう?
歴代の長が、ずっと奇跡の水を独り占めしてたってこと?
でもその表情はひどく鬱々として、とても「独り占めウフフ」な様子には見えない。
水を汲み終えた長さんは、ツボを大事そうに胸に抱きかかえた。
うつむきながら、そそくさと急ぎ足でこっちに向かって歩いて来る。
なんか・・・・・・様子が変。
「長」
「ひっ!?」
浄火が長さんに向かって声をかけた。
よほど驚いたのか、長さんの体が文字通り飛び上がる。
―― ガシャーーン!
その拍子に、彼女は手にしていたツボを落としてしまった。
「・・・あぁ!」
地面に零れた水と、あたし達を交互に見る顔は激しく引き攣っていた。
「じ、浄火! お前たち! な、なぜここに!?」
「長が仕掛け扉に入る所を偶然見たんだよ」
「なんと、おぉ、そんな・・・!」
長さんは滑稽なほど狼狽している。
秘密を知られて恥ずかしいのかもしれないけど、なにもそこまでショック受けなくても。


