ひとり冷静な絹糸が、門川君とうまく話を合わせている。
「その通りだ。僕は間違ってはいない」
「うむうむ、そうじゃな。確かに間違ってはおらぬな」
「そうだろう？ これでいいんだよ」
「うむ。そして・・・・・・」
絹糸は一呼吸置いて、ゆっくりと、門川君に言った。
「小娘は、いずれまた別の男と婚約する事になる・・・というわけじゃな？」
「・・・・・・！！」
絹糸の言葉を聞いた途端・・・
機嫌の良かった門川君の表情が、一瞬で劇的に変化した。
まるで恐ろしい化け物にでも遭遇したような顔をしている。
『・・・・・・そんな、バカな！』
例えるなら、そう、そんな顔で。
「どうした永久？」
「・・・・・・・・・・・・」
「どうかしたのか？」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・ま、この際じゃ。とことん考えてみい」
そう言って絹糸は、門川君を放ってスタスタと歩いて行った。
残された門川君は、茫然自失。
電流に打たれたみたいにピクリとも動かない。
