「とにかく、そういう事情なんだよ」
「おそらくこの島に、何らかの要因があるはずじゃ。それを探り出さねばならぬ」
「浄火殿、ぜひ、ぜひお力添えをお願いいたしまする!」
すがり付くような目で懇願するマロさんに、浄火は力強くうなづいた。
「分かった。オレも協力するぜ」
「おお、本当におじゃりますか!?」
「ああ。島の問題でもあるからな。当然のことさ」
「あ、ありがとうおじゃりまする! 感謝いたしまする!」
「あんたの奥さん、きっと助けようぜ」
うぅっとすすり泣くマロさんの肩を、浄火はポンポン叩いて笑顔で励ます。
浄火、顔では元気に笑ってるけど・・・・・・。
やっぱり結局、島に生まれた希望は嘘っぱちだった。
それどころかこんな風に島の中を引っ掻き回されて、心の中は複雑だろうに。
なのに不安も不満もおくびにも出さずに、明るく振る舞うなんて。
大人なんだな。浄火って・・・。
「じゃあ、ひとまず皆で村へ戻ろうぜ。案内する」
「そうか。それではよろしく頼む。浄火君」
「・・・あ? オレはお前も連れて行くとは、ひとっ言も言ってねーけどぉー?」
「・・・・・・・・・・・・」
「人の嫁に手を出すようなヤツを家に入れて、何か盗まれでもしたら大変だしなぁー」
・・・・・・・・・・・・。
子どもなんだな。浄火って・・・。


