「権田原は問題ない。だが・・・・・・」
「塔子が、体調を崩して臥せってしもうた」
「えぇ!? 塔子さんが!? だ、大丈夫なの!?」
仰天するあたし達に、マロさんが神妙な面持ちで答える。
「やはり、能力が発動できぬようでおじゃる。当人は気丈に振る舞っておじゃるが」
「そんな・・・・・・!」
「心配ないから、里緒殿たちには何も言うな、と言われてきたのでおじゃるよ・・・」
マロさんの沈痛な様子に、逆に事態は相当深刻なんだとすぐ察しがついた。
塔子さんから能力が消え去るなんて!
彼女にとって怒涛の一族の能力は、何よりも誇りなのに!
もしこのまま回復できなかったら・・・!
「事は一刻を争う。だから僕達がこの島へ来たんだよ」
「よ、よく許してくれたね? あの門川上層部が、門川君の外出を。いったいどんな手を使って説得したの?」
感心しながら言うあたしに、門川君がしれっと返す。
「あの連中がそんな事を許すわけがないだろう」
「・・・・・・へ?」
「許可は得ていないよ。僕は今でも、門川本邸にいる事になっている」
「・・・・・・は?」
「影武者だよ。凍雨君に、僕のふりをしてもらっているんだ」
「・・・・・・・・・・・・」


