神様修行はじめます! 其の四


どくんどくんと、心臓が騒がしく鳴り始める。


不安がどんどん高まっていく。


「二度と術が使えなくなっちゃうってこと・・・?」


「それは分からないが、症状を発症した者は結局、誰ひとり能力が回復していない」


「まだ人数が少ないゆえ、ただの体調不良で片付けられておるがのぅ」


「でもそれは深刻な問題ですわ。なぜ大騒ぎにならないんですの?」


怪訝そうに聞くお岩さんに、門川君は首を横に振る。


「あちらは今、別の件で大騒ぎなんだ」


「別の件? どんなですの?」


「常世島の件だよ」


お岩さんと浄火とあたしが、一瞬沈黙した。


あ、それってひょっとして・・・・・・。


「そうだ。突然次々と現れた、常世島の能力者たちだよ」


「有り得ぬ奇跡の大盤振る舞いに、門川上層部は大混乱じゃ」


「お蔭で体調不良の件など、とても気にしていられる状態ではおじゃりませぬ」


「だが、奇跡の陰できっと何かが起きているんだと思う。この島を発端に」


浄火が重々しい顔つきで、みんなの話を聞いている。


やっぱり因業ババは何かを企んでいるんだ。


だってこれが偶然起こった出来事であるはずがないもの。


「そ、それで、被害はどの程度広まっていますの?」


お岩さんが心配そうな顔をした。


権田原の民が気がかりなんだろう。