好きだからこそ、耐えられなかった。


自分が想う分と同等の想いを、あなたからは返してもらえない。


そんな噛み合わないもどかしさが、苦しくて・・・。


まるで対価を求めるように、写し鏡のような感情を欲した。


好きだからこそ。


あぁ・・・・・・


あたしはやっぱり間違っていた。


逃げ出す前に、『好きだからこそ』の、この気持ちに向き合うべきだったんだ。


この気持ちこそに・・・・・・。


「門川君、やっぱり、ごめんなさい・・・」


改めて気付く自分の気持ちに、心の奥が熱くなる。


彼を好きなあたしの気持ち。


切なく熱を持ち、苦しく鼓動を打つ。


深く、甘美な、疼く痛みにも似た・・・


次々と涙があふれる、持て余すほどの、この気持ち・・・・・・。


「天内君、また泣くのかい?」


「ごめん、なさ、い」


ノドを詰まらせ、そう告げるあたしに彼は答える。


「いいさ。言ったろう? 君の涙を拭くのは僕の役目だ」


彼の冷たい指先が、あたしの目尻に触れる。


震えて閉じたまぶたの先から落ちる涙を、何度もその指が拭いてくれた。


そのたび、あたしは思う。


門川君・・・・・・


あたし、あなたが、好き・・・・・・。