やっぱウグイスの鳴き声といえば、ラストの『ホケキョ』の部分が売りでしょ。
―― ホー・・・ホケ・・・
おっ? きたか!?
―― ホケ・・・・・・
よしよぉし。そのままそのまま。
―― ・・・ホケキョ?
なんでっ!?
なんでそこで、疑問文!?
「門川のスグイスって、疑問形で鳴くの!?」
「そんなわけなかろう」
「だって『ホケキョ?』って鳴いてたよ!? しかもすっごい不安げに!」
「まだ若いのであろう。鳴くのに慣れておらぬのじゃよ」
―― ホケ・・・ホケ、キョ? ホ、ホケキョウ・・・??
ち、ちょっとウグイスさん!
なんかあなた、必死な空気が漂ってるんですけど!?
大丈夫だから! それで間違ってないから自信もって!
疑問文のウグイスの鳴き声って、悪いけど、ものすごく間が抜けてる。
頼むからフツーに鳴いてフツーに。
春の優美な雰囲気、あなたの声で完全にブチ壊し。
「天内さーーーんっ!!」
さらに優美な雰囲気を壊す大声が、縁側の向こうから聞こえて来た。
ドタバタと床を踏み鳴らし、濃紺の袴姿の少年が走ってくる。
あ、凍雨くんだ。