神様修行はじめます! 其の四


抱き合うふたりを、みんなが見つめている。


泣いている人もいた。


あたしも言葉にならない想いで胸が詰まってしまって・・・声が出ない。


「さあ、みんな戻ろうぜ」


浄火が声をかけた。


「その子を送ってやらなきゃならないだろ?」


島民の間に漂っていた、険しかった空気も表情もすっかり抜け落ちていた。


あたし達に対するわだかまりは、多分まだ残っているだろうけど。


でもそんな事より何より、彼らだって今はこの子の魂を・・・・・・。


「みんな、戻るな! おいお前ら、このままうまく責任逃れするつもりか?」


また戌亥が横からキンキン声で門川くんをなじり始めた。


・・・・・・さすがにもうウンザリ。


島民たちの顔にも嫌気が見え始めている。


「可哀そうな母親を丸め込みやがって! おれは簡単には騙されないぞ!」


こいつって全部が全部、とにかく浄化に反発したくてたまらないんだろうな。


まるで高反発マットレスみたい。