あたしは首を横に振った。
余計なまねなんかじゃないよ。
だって門川君が謝る理由なんてそれこそ、どこにもないじゃん。
「彼が責められるなんて、どう考えても間違ってるよ」
「そんな事は百も承知じゃ。永久も、あの母親ですらも」
「だったら・・・・・・」
「だからこそ、じゃ」
・・・・・・・・・・・・。
だからこそ?
それ、どういう意味?
あたしの心の疑問に絹糸が答えた。
「ここにいる誰も、責められる筋合いなどない。だから・・・」
「だから?」
「だからあの母御は誰ひとり、責めることができぬのじゃ」
「・・・・・・・・・・・・」
「大切な我が子が突然死んだというのに、誰も責められぬ。となれば母は・・・自分を責める」
「あ・・・・・・」
「母とは、そういうものじゃ」
何の罪もない我が子が死んだ。
誰のせい? 誰が悪い?
・・・・・・誰も、悪くはないという。


