「ごめんよ」
門川君が繰り返し、謝罪の言葉を子どもに告げる。
母親が真っ赤な目で門川君を睨んだ。
そして、コブシで彼の胸をドンッと殴りつける。
「ごめんよ」
―― ドンッ・・・
「ごめんよ」
―― ドンッ・・・
「ごめんよ」
―― ドンッ・・・
繰り返される謝罪。
繰り返される殴打。
流れ続ける涙。ヒィヒィと漏れる嗚咽。
歯を食いしばって母親は門川君の胸を殴り続け、責めたてる。
(違う・・・違うよ)
あたしは矢も楯もたまらず、ふたりの元へ近づこうとした。
そして足首に激痛が走り、その場にドサリと倒れ込んでしまう。
・・・忘れてた。そういやあたし捻挫してたんだっけ。
「こりゃ小娘、何をしておる」
呻きながら足首を押さえるあたしの元へ、絹糸が近づいてきて座り込んだ。
「何してるって・・・捻挫してるの」
「そんな事を言っているのではない。余計なまねをするな、と言うておるのじゃ」


