シン・・・と、静まり返る空気の中で、あたしは思い出していた。
あの時、自分で言った言葉。
覚えてる。とにかく端境の人たちに腹を立てて、怒鳴り散らしてたっけ。
・・・・・・麻呂さんも聞いていたんだ。
雛型の事件の時。
世界は、最悪の事態だけは何とか免れたけど。
さすがに無傷とまではいかなかった。
門川をはじめ、各一族に犠牲が出たのは事実。
その事について、マロさんがずっと心の中で自分を責めて悔やみ続けているのは・・・あたしも知ってた。
必要以上に自分自身を卑下した事が、あの惨劇と犠牲を招いてしまった。
マロさんはそう思っている。
そして今、あの時と似通ったこの状況を警告しているんだ。
自分の中の負い目や引け目でいっぱいで、道理の見えない真っ暗なまま前に進もうとすれば・・・
必ず、悲劇が起きるって。
・・・・・・・・・・・・。
ここであたし達の誰かが犠牲になったりしたら、当然、向こう側では大問題になる。
門川当主の従者に死者でも出たら、上層部も黙っているわけにはいかない。
常世島は、ただでは済まされないだろう。


