道理であると、信じていた。
哀れな自分たちにこそ、道理があると。
それを疑うべくも無かった。
いや、疑うわけにはいかなかった。
疑えば・・・・・・認めることになるから。
自分達一族が・・・・・・
「自分達が、よそ者に比べて、劣った惨めな存在であることを」
「なに!?」
島民全員が、一斉に色めき立った。
「貴様! それはおれ達島民が、劣った惨めな存在だって言いたいのか!?」
「てめえ、絶対に許さないぞ!」
「あの時、麻呂は里緒殿の言った言葉を聞いていたのでおじゃる」
「おい! 聞いてるのか!? 無視するな!」
「今でも覚えておじゃる。里緒殿は、こう言ったでおじゃる」
『命令されてた自分達が、命令を下す立場になる。
その小気味良い爽快な気分を味わって、高笑いしたいだけ。
あんた達は、ただ偉ぶりたいだけだ』
「・・・・・・・・・・・・!」
途端に島民たちは、ぐぅっと黙り込んでしまった。
何か、固くて大きな物でも飲み込んでしまったかのような表情を見せる。
それはまるで、不意打ちの痛みに戸惑っているようだった。


