「お前らが来なきゃ、子どもは死ななかった! だからお前らの責任だ!」
「言ったはずだ。それでは道理が通らない」
「お前らの世界の道理なんざ、知るか!」
戌亥は吐き出すように言った。
「お前たちはどこまでも自分達の理屈を押し付けようとする! ・・・よそ者だからだ!」
『よそ者』だから。
またその言葉に島民たちが敏感に反応する。
彼らにとってその言葉は、色んな意味で本当に大きく、重いものなんだろう。
根底の部分に関わるほど深くて・・・複雑な。
「だがこちら側は、違う! ここだけはおれ達の世界なんだ! お前たちの好きにはさせないぞ!」
戌亥の言葉は、島民の自尊心を揺さぶった。
「そうだ。ここはおれ達の世界なんだ」
「おれ達の言う通りに従え!」
「どんなに不条理だろうが、それがこの島での道理だ! ざまあみろ!」
あっという間に結束して、口々に騒ぎ始めた。
門川君の言葉に耳を傾けようとする人は、いない。
あたし達の間には、目には見えない太い一本の線が、はっきり引かれていた。


