子どもを殺したのは、断じてしま子じゃない。


でもあたしの考え無しの行動のせいで、この悲劇が起きてしまったんだ。


主さんまで巻き込んで、命の危機に追いやって。


しま子は、その全責任を被って犠牲になろうとした。


・・・・・・言いたいのに。そこまでちゃんと全部説明したいのに。


声を出そうとすると、泣きそうになってしまって。


泣いて済む問題でも責任でもない。それ、よく分かってるから泣きたくない。


なのに。なの、に・・・・・・。


震える唇に力を込めて、懸命に泣き声を耐えた。


ひたすら鼻を啜って下を向き続ける。


顔を上げて、門川君が今どんな表情をしているのか・・・・・・。


それを知るのが、とても怖かった。


「ふん! どんな言い訳をしたところで、子どもを殺したのはそこの赤鬼に決まってる!」


「よく見よ。お菊人形」


「さっきから誰がお菊人形だ! この化け猫め!」


「この傷は鬼の爪ではないわ。まさにウツボの噛み傷であろう」


絹糸が子どもに近寄り、傷口を確認しながら匂いを嗅いでいる。


「異質な気配を感じる。特殊な海に住む異形の仕業か・・・」


「仲間内同士でかばい合おうったって、そうはいかねえぞ!」