神様修行はじめます! 其の四


「それこそ誤解だ。氷龍で君達を脅すつもりなど、僕は毛頭ない」


「よくも言いやがる! これだからよそ者は・・・!」


「落ち着けぃ、お菊人形。この龍はただの移動手段じゃ」


「移動手段と、このデカい異形と、なんの関係があるってんだ!?」


大声で息巻く戌亥に対し、門川君も絹糸もまったく表情を変えない。


淡々と説明を続ける。


「だから、霊質と神格の問題だよ」


「龍は神秘の象徴じゃ。古来からの蛇神信仰と同質なのじゃよ」


「門川所有の宝船は、いくら僕でも私用で持ち出す事は不可能だからな」


あの海を渡るのに必要な、貴重な宝船は使えない。


でも門川君には自前の氷龍がいた。


そのお蔭で、あの特殊空間を渡って来られたんだ。


ってことは、神器と同等レベルってことなの?


すごい、さすがは門川君の召喚龍。


「・・・・・・門川?」


あたしが感心している部分とは違う部分に、戌亥が反応した。


「いま門川って言ったのか?」


「戌亥、こいつは門川の当主だ」


浄火の言葉に、戌亥が目を丸くする。


「・・・・・・当主? こいつが? まさか冗談だろ?」


「本当だ。オレが向こうで謁見した相手は、間違いなくこいつだった」