神様修行はじめます! 其の四


あたしは氷龍の背を確認した。


もう他には誰も乗っていない。来たのは門川君と、絹糸と、マロさんだけらしい。


お岩さんの目が、何かを探し求める様に氷龍の背の上を彷徨っている。


そしてガッカリしたように視線を下ろした。


・・・きっとセバスチャンさんのこと、探してたんだ。


「これでもう支障おじゃりませぬ。安定したでおじゃるよ」


「ありがとう、典雅殿」


マロさんにお礼を言った門川君が、ゆっくりと立ち上がった。


いったん落ち着いていたあたしの心臓が、騒がしく鳴り始める。


あたし・・・門川君にどう説明すればいいだろう。


ううん、言い逃れようなんて事は、これっぽっちも思っていないけど。


あんまり自分がバカで申し訳なさ過ぎて、言葉も出てこないんだ。


彼を門川に置き去りにして。長老の船を勝手にかっぱらって。考えなしに島へ乗り込んで。


そのあげくに・・・・・・。


あたしは、子どもを抱きかかえる母親をオズオズと盗み見た。


胸が鉛を抱えたように重苦しくなる。


居たたまれなくて、その場に崩れ落ちそうになった。


でも口を閉ざしてはいられない。自分の口から、あたしが起こしてしまった事の顛末を説明しなきゃ。


あたしはゴクンとツバを飲み、口を開いた。


「あ、あの門川君・・・・・・」