神様修行はじめます! 其の四


その瀕死状態を一瞥し、彼は即座に印を組んで術を発動した。


―― パリーン・・・!


突き刺さったナイフが薄氷で覆われ、粉々に砕け散る。


そしてふわりと、煙が散るように宙に消えた。


素早く唱えられる言霊。地面に浮かび上がる白い陣。


輝く光が、主さんの傷付いた体を包み込んでいく。


それはあっという間の出来事で、まるで流れ作業を見るような手際の良さだった。


息を詰めて見守っていたあたしは、全身で息を吐き出しホッとする。


これできっと主さんも助かる! 良かった!


「お・・・おいお前、なにしてる!?」


戌亥が甲高い尖った声をあげた。


「異形の命を救うとは、お前もこいつらの仲間だな!?」


戌亥は荒々しい足取りで、目を瞑って静かに術を発動している門川君に近づいていく。


そして治癒を止めさせようと、彼の肩に向かって乱暴に腕を伸ばした。


・・・なにすんの!? やめてよバカ!


―― ビシィッ!


氷龍の長く太い髯が、ムチのようにしなって戌亥の足元を叩いた。


戌亥はビクリを身を震わし、とっさに門川君に向けていた腕を引っ込める。