「結界を張って術式を安定させまする。麻呂にお任せあれ」
しま子の背後には、平安衣装に身を包んだマロさん。
素早く両手で印を組み、慣れた様子で結界術を発動している。
そして・・・・・・
その後ろに・・・・・・。
「君はまた、自分で収拾できもしない騒ぎを巻き起こしているのか?」
氷龍の背にスッと立つ、姿勢の良い人。
「それもこれも、君が僕のそばから離れたせいだろう」
ああ、あの白い羽織袴。白い足袋。
「深く反省したまえ。・・・天内君」
白地に黒く『門』と『川』の模様が染め抜かれている、高貴な文様。
ここ一番の、門川当主の正装に身を包んだ・・・・・・
「門川・・・君」
あたしの胸は、彼のいつもと変わらぬ冷たい口調にぎゅうっと熱くなる。
今、この場で・・・
彼が当たり前のように、いつも通りの言葉をかけてくれたことが・・・
嬉しくて・・・・・・。


