白い光が崖下から、ゆっくりと上へ向かって広がっていく。
それにつれて輝きの光度もぐんと上がって、目を開けているのが辛い。
針のように目を細めて、なんとか状況を確認した。
―― ぬうぅ!
出し抜けに崖下から顔を表した巨大な『それ』に、全員が驚きの声を上げた。
「わ! なんだありゃ!?」
「ば、化け物!」
「ひいぃぃーー!」
艶やかに透き通る皮膚。
虎の掌。鷹の爪。口元の長髯。隆々とした角。
あれは・・・・・・
あれは氷龍! 門川君の龍だ!
予想もしない展開に、あたしは凄い勢いで立ち上がった。
間違いない。あれは確かに門川君の召喚龍。
氷の彫刻のような長い体の上が、ひときわ白く輝いている。
輝きの中心に、グッタリと横たわる赤い姿がチラリと見えた。
その姿を確認したあたしの心臓が跳ね上がる。
目の痛みも何もかも吹っ飛び、飛び上がって叫んだ。
「しま子!? しま子! しま子ぉーー!」
「これ、落ち着けぃ小娘。まだ治癒は済んでおらぬのじゃから静かにせんか」
氷龍の頭の上にチョコンと乗った絹糸が、ほとんど狂乱状態のあたしを諌めた。


