(しま・・・子・・・・・・?)
視界から、しま子が消えた。
・・・いたの。
いたの。たった今までここに。
目の前に。なのに・・・・・・。
なぜ、いない?
そして・・・・・・・・・。
あたしはペタンと地面に座り込み、片手を頭に当てて懸命に思い出す。
あれ? なんだっけ?
しま子さっき、何て言ってたっけ?
ああそうだ。思い出した。
確か・・・・・・
『さよなら』って。
・・・・・・・・・・・・。
しま子が・・・・・・
しま子があたしにナイショで、絹糸に人間の言葉を習っていたのは知っていた。
だから。
だから、あたし、ずっと知らないふりしてた。
それで、すごく楽しみにしてたんだ。
どんな言葉を話してくれるのかな? って。
一番最初に、あたしにどんな言葉をくれるのかな? って。


