神様修行はじめます! 其の四


反射的に身を起こしたあたしは、この目で見た。


真っ赤な炎がメラメラと、しま子の体を覆って燃え盛るのを。


炎の中で・・・しま子は・・・・・・


不思議ほど、静かに立っていた。


滅火の炎で焼かれる者は、誰しも皆、耐えがたい苦痛にもだえ苦しむ。


あがいて、あがいて、のた打ち回るだけのた打ち回って。


そのあげくに・・・消し炭ひとつ残さず、消えていく。


なのに・・・・・・。


しま子は、その業火の中であたしに微笑んでいた。


呻き声ひとつ上げず


あえぐ事もなく


暴れる事もなく


黙って笑って、あたしを見つめていた。


あたしは・・・・・・



あたしは、時間も、感情も、思考も


・・・すべて。この世のすべての在り様が


この心から消えてしまって・・・・・・


ただ、機械のように、目の前の光景を網膜に映していた。



しま子の目から、命の輝きが確実に失せていくのを、見て。


しま子が、滅されていく様を、この目で、見て。


そして・・・・・・。



そして笑顔の貼り付いた人形のように、もぬけの殻になったしま子が


ついに、ガクンと両膝をつき


そのまま、後ろ向きに・・・


真っ逆さまに崖下へ転落していくのを、バカみたいに口を開けて見ていた・・・・・・。