こわごわと下を確認すれば、クラッと目まいがするほどの高さ。
当然、眼下には魔の海が広がっている。
強く吹き上げる風に身をさらされ、ぞわっと鳥肌が立った。
「おい! あの赤鬼、娘を海へ落すつもりだぞ!」
「しま子ー! おやめになってー!」
お岩さんや島民たちの間に一気に緊張が走った。
い、いや、大丈夫だよみんな。
まさかしま子が、本気であたしを落とすことなんて無いから。
これって、強情なあたしに対して強めな交渉に出ただけだよ。
・・・かなり効果的だけど!
でも、あたしは絶対にしま子を滅したりなんか・・・!
「やめろぉ赤鬼! 里緒を放せえぇ!」
我を忘れた浄火の叫び声が聞こえた。
島民に押さえつけられた体を懸命に捩りながら、血相変えて喚いている。
「今すぐ放せ! さもないと・・・オレがお前を滅するぞ!」
そのとんでもない言葉に、あたしはギョッと目を見開いた。
ちょ・・・・・・浄火!?
やめて! 違うの、勘違いしないで!


