しま子、こんなにも大切なあんたを滅するなんて、あたしにできるわけがない!
あたしは絶対、絶対、絶対、やらない!
歯を食いしばり、眼力いっぱいに感情を込めて全力で訴えた。
強情なあたしの意思を感じ取ったのか、やっとしま子が揺する手を止める。
納得してくれたの? 良かっ・・・・・・。
「うがあぁぁぁーーー!」
再びしま子が、これ見よがしに恐ろしい声で叫び始めた。
荒々しい鬼の咆哮に、その場の全員が恐怖に凍り付く。
しま子はあたしを持ち上げたまま、乱暴にドスドスと崖の先へと歩き出した。
そして・・・・・・。
―― グイッ!
「・・・・・・!」
あたしの体を崖の先端から海へ向かって、腕の長さいっぱいに突き出した。
さすがに一瞬、背中にゾクッと寒気が走る。


