戌亥があたしとお岩さんを指さした。
「この女達だ! 向こう側の、よそ者達だ!」
「そうだそうだ!」
「このよそ者達も逃がすな!」
島の人たちがワッと駆け寄ってきて、あたしとお岩さんを押さえつけた。
あっという間に何本もの手が伸びてくる。
腕を後ろ手にギリリとねじ上げられ、痛みにのけ反って悲鳴を上げた。
「おとなしくしろ!」
「その娘は危険だぞ! 気を付けろ!」
髪の毛を強くつかまれ、頭をガッと思い切り地面に押し付けられる。
隣からお岩さんの苦痛の声が聞こえた。
「お、お岩さん! やめてぇ! お岩さんに乱暴しないで!」
「お前らやめろぉぉーーー!!」
戌亥に飛びかかる浄火を、島の人たちが寄ってたかって強引に引き剥がす。
「浄火、お前こそやめろ!」
「里緒! 里緒を放せーーー!」
「しかたない! おい、浄火も押さえ付けるぞ!」
絶体絶命。その状況で・・・・・・
「うがあああぁぁぁーーーーー!」
突然、しま子の咆哮が轟いた。
―― ブチブチィィ・・・!
しま子は体を縛り付けていたロープを、難なく引き千切ってしまう。
島の人たちがヒッと息を飲んだ。