ばかやろぉぉぉーーー!!


主さんは・・・主さんは攻撃する能力なんて持ってないんだよ!


退魔の力で、遺体に依り付く異形から守ってあげようとしたのに!


「それを・・・それを、あんたはぁぁ!」


「異形がおれ達を守ってくれる? ・・・お前、気は確かか?」


ハハッと片頬を歪ませ、さげすんだ表情で戌亥は笑った。


そして細い両目をカッと見開き、あたしに向かって悪意に染まった顔を突き付ける。


「子ども殺しの異形を連れ込んだ女の言うことを、誰が信じるか」


「・・・・・・!」


(子ども、殺し・・・・・・)


えぐられる様にズクンと心臓が痛んだ。


顔色の変わったあたしを見ながら、勝ち誇ったように戌亥は演説する。


「みんな良く見ろ! このヘビは、美しい姿で人間を惑わそうとする異形だ! 異形だ! 異形なんだ!」


あ然として状況を見守っていた島民たち。


血を流し、のた打つ主さんの姿を見て、目が覚めたように戌亥に同調する。


「そうだ・・・よな? このヘビは異形だ」


「なんてこった。この島へ次々と異形が入り込んでいるぞ」


「その通りだみんな! そして、その全ての異形を島へ連れ込んだのは・・・!」