目の前でのた打ち回る主さんの姿を、ぼう然と凝視する。


主さん・・・・・・? 


主さんの・・・体に・・・・・・


ナイフが深々と突き刺さっている!?


「主さあぁぁーーーん!!」


「クリスティーヌちゃん!!」


呪縛が解けて、あたしとお岩さんが絶叫した。


そしてふたりで這うようにして主さんの元へと駆け寄る。


「主さん! しっかりしてー!」


主さんは、もんどり打って苦しんでいた。


声も出せずにビクビクと震える主さんの白い体が、どんどん血で染まっていく。


ルビーのような目が無機質に光って、痙攣するようにわなないた。


あたしもお岩さんも混乱しながら悲鳴を上げ続ける。


ああ・・・! 主さん! 主さんーー!


なにが!? なんで!? どうしてこんな!?


「『惑わすな』だと? 異形め。偉そうに知った風なことを」


「・・・・・・戌亥!?」


手首をぷらぷらと動かしながら、戌亥が冷徹な目で主さんを見ている。


そして忌々しそうに吐き捨てた。


「お前こそ、おれ達を惑わすつもりだろうが」


「あんたが・・・あんたがナイフを投げつけたの!?」


「当然だ。おれは異形の脅威から島の皆を守る義務があるからな」


「ば・・・・・・!」