様子から見て、もう、どうにもならないのがはっきり分かった。


まだ幼い子どもの、哀れで無残な骸。


狂ったようにわめき散らして泣き続ける母親。


視線をそらしたいのに、その酷さに釘づけにされてしまって目が動かない。


可哀そうに。こんな小さな子が・・・・・・。


「あの赤鬼が、この子を殺しやがったんだ!」


「あの恐ろしい異形を海へ突き落してやる!」


道のすぐ先は断崖絶壁の崖っぷち。


そこに数人の男達に取り囲まれ、グルグル巻きに縛られたしま子がうずくまっていた。


「しま子!? しま子、しま子!」

「・・・・・・うあ?」


あたしの声に反応したしま子が、うつむいた顔を上げた。


あたしの姿を確認した途端、すがるようにこっちに来ようと身動きする。


「うあ! うああ~~!」

「動くな! こいつめ!」

「やめて! その子に乱暴しないで!」


あたしは浄火の背中から強引に降りた。


ケガした足を引きずり、両腕をしま子へ向けながら夢中で近づいて行く。


「危ないお嬢ちゃん! 近づいちゃだめだ!」


慌てた島の人たちが、あたしの体を強引に取り押さえた。


「放してよ! そばに行かせて!」


何本もの腕の中で暴れながらあたしは叫ぶ。


「いったい何があったって言うの!? 誰か説明してよ!」