「ただの動物相手なら、わたくしなら手懐けられるかもしれませんわ」
「たぶん無理だな。一応は異形のモノなわけだから、純粋な動物じゃない」
「中途半端で一番厄介な種類だねぇ。ちょいと天内の娘」
「は、はい?」
「ここはあんたの出番決定だね。しっかり任せたよ」
「・・・・・・・・・・・・」
お、お任せコースで、設定されてしまった。
あたしはゴクッと空気のかたまりを飲み込み、不安を横へ押し退ける。
だ、大丈夫! あたしが約束通り、ちゃーんと守ってみせるよ!
なにが出てこようが問題ない! これまで通り滅火の力で退治しちゃうもん!
・・・・・・・・・・・・。
滅火の力、効果あるよね? 変形クマ相手でも。
―― ぬうぅっ!
「うわっ、何!?」
不思議な気配が、『呼んだ?』と言わんばかりのタイミングで漂ってきた。
さっそく来たの!? 別にわざわざご丁寧に顔出さなくてもいいのに!
と、とにかく戦闘開始だ!
「みんな、下がって!」
あたしは敵へ視線を走らせ、素早く相手の姿を確認する。
そして・・・
その姿を見た途端、せっかく高めたあたしの戦闘意欲は見事にボロッと抜け落ちた。
・・・・・・なに? これ・・・?
「出たぞ! みんな気を付けろ! こいつがここら辺で主流の異形のモノだ!」
「・・・ねえ、浄火・・・」
「どうした里緒!?」
「あのさ、これさ・・・」
ボーっと突っ立ったまま、あたしは浄火に念を押した。
「マンモス・・・だよね・・・?」
・・・なんで? なんで一万年前に絶滅したマンモスが、目の前にいんの?


