「勝は自己主張が強い男でねぇ。でも頭は回るし、なかなか目ハシの利く男だったよ」
主さんはしみじみと懐かしそうに言う。
「あいつは今、どうしてんだい? 達者で暮らしてるんだろうね?」
「・・・もうとっくに死んでますけど。100年以上前に」
「え!? 死んだ!?」
思い出にふけっているようだった主さんが、勢いよくあたしを見上げた。
「・・・死んだ? あいつ、死んだのかい?」
「は、はい。普通に寿命で・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
主さんは、言葉も無くルビー色の目を瞬かせている。
そして忙しく問いかけてきた。
「ひょっとして、あの頃の連中はもうみんな、いないのかい?」
「あの頃の連中って?」
「体格が良い薩摩なまりの男や、色が黒くて大柄な土佐なまりの男や、「誠」の旗で京の町を歩き回ってた連中だよ」
・・・それって西郷隆盛と、坂本竜馬と、新撰組のこと、かな?
「あの、それはもちろん・・・」
「・・・・・・・・・・・・」