「鬼の体が炎に包まれたぞ!?」
「ひいぃ! 逃げろ!」
近くに座っていた当主たちが、大急ぎで逃げ出した。
あたしは信じられない思いで、赤い炎に包まれたしま子を呆然と見上げる。
・・・滅火の炎だ! 間違いない!
他の人には普通の炎と見分けがつかないだろうけど、あたしには分かる!
ということは、やっぱりこの男は、本当に天内の・・・!?
凍雨くんや塔子さんやマロさんが、血相変えてこっちに駆け寄って来た。
「天内さん!」
「里緒!」
「里緒殿! この炎は!?」
「がああ! がああぁぁーーー!」
「し、しま子ーーーーー!」
しま子が炎の中で、もんどり打つほど苦しんでいる。
激しく手足をバタつかせ、絶叫する口から泡を吹き始めた。
こ、このままじゃ、しま子が死んじゃう!
「嫌あ! しま子ぉ!」
悲鳴を上げてしま子に飛びつこうとするあたしを、凍雨くんが抑え込む。
「天内さん! 危ない!」
「放して! しま子が! しま子が!」
「小娘よせ! 飛び込むのは危険じゃ!」
「しま子ーー! 死なないでーー!」
凍雨くんの腕の中で、あたしは必死で泣き叫んだ。
このままじゃ、しま子が滅せられてしまう!
誰かお願いだから、しま子を助けてー!


