神様修行はじめます! 其の四


「おいおい、そんな焦った顔するなよ。いくら残念だからって」


戌亥が得意気な顔をする。


「分かったか? お前は英雄でもなんでもないんだ。たまたま一番最初に目覚めただけなんだよ」


戌亥と取り巻き連中の蔑んだ声に、あたしのムカつきが増量する。


んもう! なにノンキなこと言ってんだか、この前髪パッツンは!


浄火が心配してるのはそんな事じゃないってのに!


「これからもっと、能力者が出てくるだろうよ。おれだって・・・」


「なに!? お前にも能力が現れてきているのか!?」


心配した浄火が叫んだ言葉に、戌亥の顔がピクンと険しくなる。


「まだ目覚めていないだけだ! 時がくれば、おれだって当然能力者になれるんだ!」


「・・・なんだ。まだ目覚めていなかったのか」


安心した浄火に、ますます戌亥は表情を険しくする。


目を大きく吊り上げ、食ってかかってきた。


「バカにしてるのか!? 自分が能力者だからって偉そうにしやがって!」


「オレはそんなことを言ってんじゃねえよ!」


「おれを見下しやがって! おれだって・・・おれだって!」


怒りに震えた戌亥が拳をにぎり、浄火に殴りかかろうとする。


浄火に届く寸前、あたしは左手で拳をパシッとつかんだ。