神様修行はじめます! 其の四


「どこなんだ? オレにも会わせてくれ」


「今はもういない。信子様が全員、向こうへ連れて行ったから」


「信子ババが? 全員、ひとり残らずか?」


「ああ。奇跡が起こった事実を報告しなければならないと言って」


「・・・・・・・・・・・・」


「奇跡を上層部に信じてもらうには、本人たちを見てもらうのが一番だと言っていた」


村人たちは、心底から嬉しそうな笑顔を見せている。


逆に浄火の表情に不安の色がますます濃くなった。


・・・だって、おかしいよ。変でしょどう考えても。


因業ババが島へ出入りするようになった途端、現れ始めた能力者。


しかもその全員が、ババによってあっちへ連れ去られている。


奇跡じゃなくて、何か裏があると考えるのが当然だ。


だけど島の人たちは、誰ひとりとして疑問に思っている様子が無い。


これまでの苦労から解放される喜びが大きくて、物事を冷静に考えられないんだ。


それにおそらく、因業ババの『蜘蛛の糸』の術にかけられているんだろう。


大丈夫なのかな?


そんな不審な能力の目覚め方をして、もし島民の命に別状でもあったら・・・。


・・・能力に・・・目覚めた、者・・・?


(浄火・・・・・・)


あたしは浄火を不安な目で見つめた。