「嫁取り、おめでとうよ。なかなか良い娘だな」
「そうだろ? すげえ可愛いだろ?」
「ああ。顔の部品も体の凹凸も、自己主張が全然無くて実に謙虚そうだ」
ちょっと! それってつまり全体が地味でペッタンコって言いたいの!?
おま、それ完全にハラスメント発言だぞ!?
でも言ってることは事実なだけに、反論できないのが超悔しい!
「英雄様にふさわしい嫁だよ。なあ、みんな?」
戌亥の取り巻き連中が同意するように、揃ってヘラヘラと笑い声を立てた。
その笑い声と表情が、まあほんとに効果バツグンに人の神経を逆撫でするったら!
腹の奥がムーカーツークーわー!
「よせよ。オレは別に英雄じゃねえし」
「ああ、そうだな。お前が能力に目覚めた時は、みんな大騒ぎになってお前を英雄扱いしたけど・・・」
戌亥はこれまで以上に卑しい顔で笑った。
「まだ知らないんだろ? お前が島を出てからのことを」
「オレが島を出てから? ・・・おい、まさか島に何か起こったのか!?」
浄火が戌亥に勢いよく詰め寄った。
因業ババが、常世島を巻き込んで何かを企んでいるかもしれない。
それが心配で浄火は戻ってきたんだ。


