神様修行はじめます! 其の四


「・・・これが里緒。こっちが権田原の女当主だ」


浄火があたしとお岩さんを嫌われ系に紹介する。


主さんはスルーされた。


「里緒、権田原、こいつは島の仲間の戌亥(いぬい)だ」


「戌亥・・・」


「オレと同じ、常世島の次の長候補なんだよ」


次の長候補? ・・・あぁ、なーるほど。そーゆーことね?


あたしは改めて戌亥と呼ばれた男の顔を見た。


短くパッツリ切り揃えた髪や、やたら薄い唇はいかにも性格に余裕が無さそう。


それに、厚ぼったい一重まぶたの奥に恨みの感情が見え隠れしている。


つまりこいつは、浄火のライバルなわけだ。


その浄火が突然天内の力に目覚めるわ、島から初めて外へ出て、門川に謁見するわで。


かなり大きく差をつけられてしまった。


外見は余裕顔してるけど、内心では嫉妬の炎がめ~らめら。ってことか。


やだなー、男の嫉妬ってタチが悪くて。


こじらせると女より粘着するんだもん。


特にこいつは、自ら率先してこじらせるタイプよ絶対。


自分のことエリートだと信じ込んでるヤツが初めて石ころにつまずく時って、面倒なんだよねぇ。


自分の不注意はこれっぽっちも認めずに、石ころに対して賠償請求するんだから。


めんどくさいヤツに絡まれてるんだなぁ。浄火も気の時に。