「いよお、英雄様のお戻りか?」
村人たちの背後から、妙に嫌味くさい声が聞こえてきた。
誰? と見れば数人の男グループがこっちに向かって歩いて来る。
その中心人物の顔と雰囲気を見た途端、あたしはビビーッと嫌な予感が走った。
・・・・・・なんだぁ? こいつ。ニヤニヤ薄ら笑いなんか浮かべちゃって。
人を小ばかにしてる態度がアリアリじゃん。
お岩さんも一瞬で不愉快そうな表情になって、すかさずあたしと目で会話を交わした。
(こいつ、きっと嫌われ系ですわね?)
(うん。ご親切なくらい分かりやすく、敵キャラ臭漂ってる)
「無事のご帰還、まずはおめでとーさん」
嫌われ系キャラは、村人たちを横へ押し退けるように浄火の前に立つ。
そして威嚇するように大きく胸を張り、敵対ビームをビシバシ浴びせてきた。
「英雄様が戻ってくれて、嬉しいねえ。しかもあっちの嫁まで連れて来たって?」
嫁じゃないっつーの!
あんたに言われると、なぜか必要以上にイラつくんだけど!
あたしは思わず、こっちを見ているそいつを睨み返してしまった。
「ふうぅ~ん、これがあっちの嫁ねえ・・・。ふううぅぅ~~ん・・・」
・・・なにその『ふううぅぅ~~ん』って!
うわ、素敵にムカつくわこいつ!


