こっちを振り向いた女性の目が、お岩さんの姿に釘付けになった。
そのままピキーンと固まって、なんか・・・全身蒼白状態に陥っちゃってる。
「初めまして。わたくし、権田原ジュエルと申します」
「・・・・・・・・・・・・」
「あなたのご期待に添えず、申し訳ありませんわ。お恥ずかしながら普段着で来てしまいましたの」
―― がらがらがら・・・・・・
・・・って音が、女性の内部から聞こえた。
確かに、聞こえた。
・・・たぶん今、この人の中の大切な何かが、音をたてて崩壊したんだなー・・・。
お気の毒に・・・・・・。
他の島民たちも、お岩さんの姿を見ながら火がついたように騒ぎ出す。
「な、なんだ!? この、もんのすげえ恰好の女は何者なんだ!?」
「ひょっとしてこれが噂に聞く『異形のモノ』か!?」
「異・・・あ、あなた方、レディに対して失敬ですわよ!?」
「権田原、落ち着けって。おいみんな、こいつはあっちの一族の女当主だよ」
「女当主!? じゃあこれやっぱり人間か!? 人間なのか!?」
「でもあんまりだろこれ! ありえねえよ!」
「それはこっちのセリフですわ! このファッションを理解できないなど、あなた方は凡人の極みですわ!」


