浄火はそれ以上なにも言わなかった。


こっちを見ることもなく、黙々と無表情のままで歩き続ける。


いつもの飄々とした様子とは違う態度が気にかかるけど、あたしもそれ以上は話すこともなくて・・・。


無言のまま、ふたり肩を並べて歩いていた。


・・・なにさ? なんだってのよ?


そっちから話しかけてきたのに、いきなり黙んないでよ。なんか気づまりじゃん。


あぁ、ひょっとして門川君を悪く言ったこと謝りたいとか?


謝罪って切り出すタイミングが難しいもんね。


よし、それなら気にしなくていいよって、こっちから・・・


「その先がオレの住んでる村だ。ほら、見えてきたろ?」


口を開こうとした時、浄火がそう言って前方を指さした。


開きかけた口を閉じ、あたしはその指の先を目で追う。


村? 村って・・・・・・あ、ほんとだ! 家が見えてきた!


石を無造作に積み上げたような、簡単な作りの小さな家々が点々と並んでいる。


壁にはポカリと開いた窓と、板一枚の薄そうな玄関ドア。それだけ。


これが家? この島の一般的な家屋?


まるで物置小屋みたい。住みにくそーだなー・・・。


でもさすがにそんな事は顔には出さずに、浄火の先導であたし達は村に入って行った。