あたしはもう、不安やら心配やら気がかりやらで・・・。


今にも心肺停止になってしまいそう。 


トリケラトプスの着ぐるみ着せて、「これ、向こうで人気のペットなんです」って連れてっちゃダメかな?


ツノの具合とか似てるし、それでいけそうな気もするんだけど。


・・・・・・だめ?


「じゃあ行こう。みんなついて来てくれ」


浄火の声を合図にお岩さんと主さんが歩き出す。


しばらくためらった後で、あたしもしかたなく最後に歩き出した。


振り返り、振り返り、トボトボこの場を立ち去る。


しま子との距離が、少しずつ広がっていく・・・。


(しま子、しま子、すぐに戻って来るからね? ちゃんとここにいてね?)


目で必死に訴えるあたしを、しま子の丸いひとつ目が見つめ返す。


頼りなげなその目を見てたら、もうあたし、泣きそうになってしまって・・・。


そしたらしま子が励ますようにニコッと笑いかけてくれた。


『いってらっしゃい。しんぱいしないで』


細められた目。あたしに向かってフルフル振られる、赤い手。


・・・・・・ぶわっと涙があふれてしまった。


微笑む目と、揺れる赤い手を最後に、しま子の姿はついにあたしの視界から見えなくなってしまった。