なぜ絹糸があんなに反対したのか、やっと意味が分かった気がした。
「心配ないさね。岩陰にでも隠れてじっとしてりゃ大丈夫さ」
主さんが慰めるように言うけど、安全な保障なんてどこにもない。
やっぱり見知らぬ場所に置き去りになんかしたくない。
でも・・・・・・。
お岩さんは何も口出しせずに、成り行きを見守っている。
そうだ。あたしがこの島へ来た目的は、お岩さんを救うためだ。
あたし自身が提案して、絹糸の反対を無理に押し切って。
しかもその絹糸が、手助けのために主さんまで寄こしてくれたのに・・・。
そのあたしがここでグズグスしているわけにはいかないよ。
「しま子・・・・・・」
「うああ~~・・・」
しま子の丸い大きなひとつ目と見つめ合う。
それだけでしま子はあたしの気持ちを分かってくれたようだった。
主さんに向かって熱心に何かを語りかけている。
「うあ~~、うああぁうぅ?」
「ああ、島の中へはあたしがついて行くから平気だよ」
「あ、あ、あううぅぅ~~?」
「そう心配おしでないよ。どうやらこの島には、たいした異形のモノもいないそうだしね」
「うぅーー・・・・・・」


