神様修行はじめます! 其の四


海以外にもどんな危険があるか分かったもんじゃないのに、いきなり置いてきぼりなんてヒドすぎる。


置き去りにして、島の人に見つかって攻撃でもされたらどうするのさ? 


しま子は一般人相手に反撃なんかできる子じゃないよ。そうなったらどこに逃げればいいの?


考えれば考えるほど、次々と不安要素が浮かんでくる。


やっぱりダメダメ! 絶対に置いてけない!


「連れていってもいいでしょ!? 大事な仲間なんだもん!」


「里緒の気持ちも分かるけど、島に入るなら島の事情に従ってくれ」


「だって、そんなの可哀そうだよ!」


「島民に敵と見なされたら、おしまいだぜ? 長だって何も教えてくれなくなる」


「そんな・・・!」


あたしはしま子を力一杯ギュッと抱きしめた。


しま子は、あたし達を守るために、危険もかえりみずついて来てくれる優しい鬼なのに。


でも、ここではしま子はただの『敵』。


ここでは誰にも理解してもらえない。あたし達の理屈は通用しない。


ここは、隔離されてしまった島だから。


向こうの「普通」の人たちに認められず、理不尽に追放された者の集まる居場所。


逆に今は、向こう側のあたし達こそが 「普通に」 疎外されてしまうんだ。