お岩さんが驚いた声を出す。
あたしもビックリ。ここが隔離された場所なのは知ってるけど。
まさかこちらの世界で、異形のモノがいない場所が存在するなんて。
「いるには、いる。でもみんなほとんど動物と変わりない姿だし、力も弱いモノばかりだ」
動物とほとんど変わりないモノ?
それって野生の熊や虎みたいなものかな? それでも充分脅威だろうけど。
「だからこそ、ここが島流しの場所に選ばれたんだろ」
その浄火の言葉に、あたしはマロさんから聞いた説明を思い出した。
島流しの表向きの理由は、『神の力を持たない者を戦いから遠ざけるため』 だったはず。
なのにまさか無力な人間を、異形のモノがウヨウヨしている場所へ閉じ込めるわけにもいかない。
そういう意味でも、ここは都合の良い場所だったわけだ。
あくまで門川のお偉いさん達にとっての都合だけど。
「それなら確かに、この子たちを連れ回してはパニックになりますわねぇ」
お岩さんは困ったように頬に手を当てた。
「あたしゃ色は違えど、見た目は普通のヘビだから大丈夫だろうけどね・・・」
主さんがヘビ少女としま子を交互に見上げる。
ヘビ少女がすごく不安そうな目で、訴えるように浄火を見つめていた。
しま子なんかもう、事情を察したのかすでに目がウルウル潤んでる。
あたしもしま子の腕に必死にしがみついた。
やだよ! こんな所にしま子を置き去りになんかできないよ!


