―― ゴゴゴ・・・


地響きのような音が聞こえて振り向くと、船が今まさに沈むところだった。


光る海の深淵に、あの巨船が静かに飲み込まれていく。


島からの位置から考えれば浅瀬な場所のなずなのに。


やっぱりこの海は恐ろしい魔性の海原なんだ。危なかった・・・。


ペチペチと軽い音がする方を見ると、伸びている浄火の頬をヘビ少女が心配そうに手の平で叩いている。


「う・・・あれ? オレら助かったのか?」


目を覚ました浄火が頭を振りながら起き上がった。


ヘビ少女が泣き笑いのような表情を浮かべて、浄火の胸にギュッと抱き付く。


「うあああぁぁ~~う!」


いつの間にかしま子も無事に船から脱出していて、あたしを抱きしめて泣きながら頬ずりしている。


良かった、どうやら全員助かっ・・・


・・・ってない! お岩さん!


砂浜に横たわっているお岩さんの様子を確認すると、彼女は意識不明のまま。


症状は進行していて、体はますます透き通ってしまっていた。


もう体の下の砂地が透けて見えてる!


このままじゃお岩さんが死んでしまう! お岩さんが、死ぬ!?


青ざめたあたしは悲鳴を上げて、彼女に抱き付いた。