「しま子、手ぇ離さないで! お願い! 絶対に離・・・!」


哀願むなしく、しま子はあたしとお岩さんの手首をパッと離す。


うわあぁぁん、やっぱりお約束~!


待ったなし、空中ブランコ初体験の強制スタート。


内臓が引っくり返りそうなほどの急降下に、耳元で風がゴオォォォッと唸る。


うっわああ、落ちてる落ちてるぅ!


そしてすぐさま浮上。急速な視界の変化にぐるぅんと目が回る。


ひぃええぇ、上がってる上がってるぅ!


―― ぽおぉぉーーーん・・・


絶妙のタイミングでヘビ少女が手を離し、ブランコから放り出されたあたしは宙を飛んだ。


飛んでる・・・飛んでるぅぅ!


全身の汗腺から冷や汗がドッと出て、もう無我夢中。何も考えられない。


お岩さん! お岩さんの手だけは離すもんか! 


それだけを思い、あたしは必死になってお岩さんの手をつかんでいた。


―― ・・・ボスン!!


(うっぐぅぅぅ~~・・・!)


地面に不時着したとたん、全身にビリビリッと衝撃が駆け抜けて息が止まる。


顔を強くしかめながら、あたしはジッと痛みをやり過ごした。


で、でも、骨が砕けるほどの衝撃を覚悟していた割には、そうでもなさそう・・・?