発動失敗!? おーまいがっ!


よりによってここ一番って大注目の時に、なんで失敗するかな、あたしぃ~!


―― ズズゥゥ・・・!


「うわ!? また傾いた!」


船の傾く角度がさらに大きくなった。もうこれは沈没するまで本当に時間が無い。


落ちた先には大口を開けた巨大ウツボが待ち構えている。


それを退けたとしても、周りは特殊な海だ。


どうしよう! ああ、こんな時に絹糸がいてくれたら、変化して空を飛んで助けてくれるのに!


―― ゴオォォォッ!


あたしの思考を断ち切るような大きな音が轟いた。


下をみるとウツボの巨体が赤々とした炎に包まれている。


轟々と輝く様に燃え盛る見事な炎は、まぎれもなく滅火の炎。


「よっしゃあ! やったぜ大成功だ!」


浄火が嬉しそうな声で歓声を上げていた。


これ、浄火がやったんだ。


あたしが失敗した後で、力に目覚めたばかりの浄火が立派に成功させるなんて・・・。


うぅ、みっともない。先輩の立場ないじゃん。


炎に巻かれたウツボは苦しそうにジタバタともがいている。


ウネウネと巨体を捻じりながら、光る海の底へと潜り込んで行ってしまった。