神様修行はじめます! 其の四


「里緒、やれ! ぶちかませ!」

「うがあぁぁーー!」


浄火としま子が景気よく声を上げる。


ヘビ少女も真剣な顔で、あたしの術の発動を見守っている。


みんなの期待を背負ってあたしの意思は燃え上がった。・・・任せて!


天内の両目が、ウツボの中の黒い渦を捕らえる。


この勝負・・・もらったあぁぁーーー!


―― ボッ・・・


「・・・・・・へ?」

「・・・なんだありゃ?」

「うああ?」

「・・・??」


自分の発した滅火の炎を見て、あたしは自分の目を疑った。


浄火もしま子もヘビ少女も、完全に気抜けしてウツボを眺めている。


炎は・・・確かに黒い渦を的確にとらえ、ウツボを燃やしている。


燃やしてるんだけど・・・・・・


「あれ・・・マッチの火か?」


ポカンと見つめたウツボの、尖った鼻面の先っぽ。


その一点で小さな火がチロチロと燃えている。


あれじゃまるでバースデーケーキのロウソクの火だよ。


フッと息を吹きかければ、ほんの一瞬で消えてしま・・・。


―― フッ・・・


ウツボの鼻先の炎が、風の勢いに揺らされあっけなく消えるのを見てあたしは叫んだ。


「な・・・なんでええぇぇーー!?」