―― ガパアァッ!
光の海から、大きな洞窟のような口腔が浮上した。
その口の中には数えきれないほどのヘビが飲み込まれている。
その巨大な口と牙の正体を知って、あたしのこめかみにビシッと筋が立った。
「ウぅーツぅーボぉぉぉーーー!」
まだしぶとく生きてたのかこんのやろー! お前か! お前が犯人か!
船底のヘビを根こそぎ食って船を転覆させたね!?
どんだけ根暗でネチっこいの!? 因業ババの性格そっくり!
・・・ひょっとして親戚とか!? あれ、あんたの妹さん!?
激怒するあたしの足元の遥か真下、勝利を確信したウツボが悠々と漂っている。
そしてまるでこっちをバカにするかのような表情で、パカーッと大きな口を開けた。
それを見たあたしのこめかみが、プチィ! とキレる。
こ・・・こいつぅぅ・・・
あたしが落ちてくるのを、わざとらしく待ち構えてやがるなあぁぁー!?
「いい度胸してんじゃないの! あたしにケンカ売るなんざ!」
もうカンベンならん! バカにしくさりおってぇぇ!
魚類の分際で、炎を操るあたしを怒らせたことをミッチリ後悔してもらうよ!
「来い! 滅火の炎!」
あたしの頭にガッと血がのぼり、全身の血が沸騰するように熱く沸き立った。


