神様修行はじめます! 其の四


そんなバカなと思いながら目を凝らし、もう一度確認する。


・・・間違いない。体全体の色素が抜け落ちていくように少しずつ薄くなっている。


皮膚の色や髪の色がどんどん淡くなり、ぼやけていく様を見ながら浄火に叫んだ。


「どういうこと!? これ、なんなの!?」


「分からねえ! 海から生還したヤツを見るのはオレも初めてなんだ!」


「まさかこのまま消えて無くなるなんてこと、ないよね!?」


「だから、オレにも分からねえって!」


これが時空の狂った海に身を浸した代償なの!?


まさか、こちらの次元に存在できなくなるとか!? ・・・そんな!


叫んでいる間にも待ったなしに色素は抜け落ちていく。


なんだか体の輪郭すらもぼやけてきているようで、あたしは心底焦った。


どうしようどうしよう! 今すぐなんとかしないと!


このままじゃ本当にお岩さんが消えてしまうよお!


―― ガックーーーン!


不意に船体が、今にも引っくり返りそうに大きく片側へ傾いた。


全員が床に倒れ込み、あっという間もなく片寄った側へと転がるように滑り落ちる。


砕けた甲板の木片がザザァッと音をたて、雪崩のように海へと滑り落ちていった。


きゃああ! ナナメ下45度!? ダメ、耐えられない!  これ絶対落ちるぅ!