「なに!? 海がどうかし・・・」
―― ブアァァァッ!
はるか下方の海面から、えらいスピードで何かが飛び上がってきた。
海を覗きこもうとしていたあたしの鼻先ギリギリをかすめて、天高く伸び上がる。
あ、危な・・・! 大根おろしみたいに鼻の先っちょをすりおろされる寸前だった!
あたしの横にストンと華麗に降り立ったのは、ヘビ少女。
しかも、ヘビ少女の長い胴が巻き付いているのは・・・
「お岩さん!?」
目を閉じたお岩さんが、とぐろの中でグッタリと意識を失っていた。
あたしの胸に、安堵と喜びが打ち上げ花火のように連続爆発する。
「ヘビ女、えらいぞ! 権田原を助けてくれたのか!?」
お岩さんを胴から放したヘビ少女が、可愛らしい笑顔でニコリと浄火に微笑む。
ヘビの尾の先が、犬のシッポみたいにパタパタとちぎれんばかりに左右に振れていた。
あたしは喜びのあまり、感極まってヘビ少女に思い切り抱き付いてしまった。
「ヘビ少女おぉぉぉーーー!」
「・・・・・・!?」
「ありがとうありがとうありがとう! あんたって、最っっ高ーーー!」


