神様修行はじめます! 其の四


「冷静になれ里緒! この海へ落ちたら二度と助からねえんだぞ!?」


「その海にお岩さんが落ちたのよ!」


「分かってる! だから権田原は、もう・・・」


「それ以上言ったら、あんたをぶっ殺すわよ!?」


お岩さんはね、あたしの助けを待っているの!


だって約束したんだもの!


あたしが、何があっても絶対にお岩さんを守るからねって!


だから、だから・・・だから・・・


「あたしは見捨てたりなんか、しない!」


片足を前に振り上げ、かかとで浄火のスネを強く蹴った。


浄火が怯んだ瞬間、軽く屈んで反動をつけて、後頭部で浄火の顔面に頭突きをする。


「う・・・!」


浄火が反射的にあたしから両腕を放した。


解放されたあたしは、海に飛び込もうと船の縁に手をかける。


しま子がすぐ背後で、大慌てで何かを叫んでいた。


「うがあ!? がああぁー!」

「とめてもムダだよ、しま子!」

「がががあうぅぅーーーっ!」


しま子は海を指さしながら、懸命に何かを伝えようと身振り手振りであたしにアピールしていた。